You good? Yeah, I'm good.

 

金曜日。夕方。

職場から逃げ出した僕は、マスクの下のニヤニヤを隠し切れずにいた。この一週間僕のアフターバーナーであり続けた、トップガントップガン マーヴェリックの連続上映の日だからだ。この一週間、後方乱気流に巻き込まれたり、時代遅れのポンコツ戦闘機に絡まれたりしたが、全て乗り越えてきた。

 

 

トップガンは、特にこれといったどんでん返しのようなものが無い、王道of王道のストーリーの映画だ。だからつまらないという声はしばしば耳にする。それはごもっともな感想だと思う。天才的な能力をもったパイロットが、女を片手にライバルとの衝突・親友の死を乗り越えて人間的に成長し、栄光を掴む。清々しいまでの王道っぷりだ。これは36年ぶりのトップガン マーヴェリックも同様であり、マーヴェリックが置かれている状況は違えど、物語の構造自体に特段大きな違いはない。それでも僕はそんなトップガンが大好きだし、トム・クルーズの映画が大好きだ。

 

映画館での周囲の人の感想やTwitterのレビューに触れていると、映画に対して「期待を良い意味で裏切る展開がないと退屈である」という考えを持っている人はけっこう多い。ありとあらゆるテーマ・展開が作品化され、知識が蓄積した現代の僕たちの想像を超えるのはかなり難しいと思うが、『シャッターアイランド(2010年)』くらいの展開を求められているように感じる。

スターウォーズの続・3部作はそうしたどんでん返し的な何かを企んでいる雰囲気を感じた。特に2作目のライアン・ジョンソン監督は策士策に溺れるという言葉がぴったり。スターウォーズは変に捻らなくてもいいのに。王道of王道のストーリーでよかったのに。監督の作品である『ルーパー(2012年)』は大好きだけど、その発想はスターウォーズにおいてはマジでいらない。(早口)

 

...ふう。

 

僕はトップガントップガン マーヴェリックのような王道展開の映画も好きだ。予想できない展開など一切ない、ありふれた展開。でもそれを退屈なものとは思わないし、最初からそういうものとして楽しんでいる。

ドラえもんの映画で、ジャイアン以外のメンバーがみんな縄で縛られて処刑寸前という状況にあるとしよう。処刑されたら物語は終了。ひみつ道具など一切出てこないジャイアン主役のアニメシリーズが始まることになる(それはそれで観てみたい気もする)。ここで予想できることは、「処刑直前にジャイアンが助けに来る」である。その場にいないメインキャラが助けに来るのは王道展開だ。多分これを予想できない人間はほとんどいないだろう。

トップガン マーヴェリックのラストはまさにこのドラえもん映画である。観る前から展開はわかりきっているが、つまらないとは思わない。そういう映画だとわかって楽しんでるから。

↑「あの展開、予想できるよね」という声に対して極端に言うと僕はこう思っている。

 

とはいえ、全ての人が面白いと感じる映画なんてものはこの世に存在しない。僕は好きな映画を好きでいられれば、それだけで十分だ。他人にどう評価されようと関係ない。

 

 

 

連続上映を観に行った僕が驚いたのは、客の大半が女性だったこと。しかもソロで。とても意外だったが、なんとなく理由はわかったような気がした。Twitterにそのヒントは散らばっている。

4時間半の長丁場だったが、トイレ休憩で立ち上がることもなく落ち着いて鑑賞することができた。青春18きっぷ旅行で鍛えたケツはいくつになってもホンモノだ。

トップガンは、若さ溢れるトム・クルーズとクールなヴァル・キルマーがまぶしかった。キャラとしてはアンソニー・エドワーズ演じるグースがやっぱり一番好き。グースの死はいつ見てもつらい。今回は連続上映だったので、その直後にグースの息子ルースターの帰還を目にすることとなり、僕は11回目の鑑賞とは思えないくらい涙を流した。抱き合うシーンもいいけど、個人的にはF-14で空母に着陸するシーンが一番好き。ランディングギアも脱落し、エンジンもイカれてボロボロの状態でなんとか不時着したあと、

マーヴェリック「You good?」
ルースター「Yeah,I'm good.」

このやり取りの直後のマーヴェリックのホッとしたような表情とため息でいつも涙が止まらなくなる。親友グースの愛する息子を生きて帰すことができたマーヴェリック...よかったね...よかった...

 

 

トップガン マーヴェリックについてはまた今度詳しく書きたいな...

 

 

明日から3日間お仕事。ぼちぼちいこか。

 

台風の影響が小さいといいなぁ。

おやすみなさい