一日一膳
一日一善とはいうものの、毎日善い行いをするというのは簡単なことではないし、無理矢理毎日やるのもなんか気持ち悪い。「今日まだ善行してねえ!ゴミ拾っとこ!」みたいなのを想像して鼻で笑った*1。
どうでもいいけど最後に一日一善という文字列を見たのはいつだろう。何年も見てないような気がするし、多分これは気のせいではない。じいちゃんが生前やっていたクロスワードとかかもしれない。
最近帰るのが遅すぎてコンビニの犬と化している*2。今日もしっかり犬を演じてきた。店員に対してワンワン吠えたりしない従順な犬。
レジの店員さんは見覚えがありすぎるおじさんだった。焼肉弁当と豆乳と朝食用のヨーグルトとパンをレジへ差し出した。心なしか店員さんが疲れているように見えたが、すぐさま「お前もな」というセルフツッコミを入れる羽目になった。...おや?提示された合計金額が明らかに少ないではないか。
どうやら一番最初、焼肉弁当の温めの要否を僕に聞いた時に読み取りをすっ飛ばしてしまったらしい。一番高い商品が無いので合計金額が半分くらいになっていた。
さすがに僕には善良な人間の心があるので、焼肉弁当分が漏れている旨をお伝えした。すると店員さんは目をギュッと瞑りながら「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」と言った。僕はコンビニのシステムをよく知らないのだけど、一日の締めに差額が発生した場合は店員さんの給料から損失分が抜かれるような制度になってるんじゃないか、と思うほどの感謝感激雨霰だった。
店員さんは「気持ちだけでも」と言って箸を追加でくれた。割と要らなかったけど、できる限りの嬉しそうな声を出して受け取った。ありがとう。ストックします。
帰りに「これが一日一膳か〜」とかくだらないことを考えてたら家を通り過ぎた。夜風が気持ちよかったのでそのまま少し遠回りして帰った。
良い日だった。